病院薬剤師が調剤薬局に転職してみてわかったこと【正直な体験談】

転職

「転職後、どうなりましたか?」

そう聞かれると、「よかったです」と答えます。ただ、即答ではないですが。

このブログを読んでいる方の中には、「転職活動の話はわかった。で、実際転職してみてどうだったの?」と思っている方もいると思います。その疑問に正面から答えるのが、この記事です。

前の記事では在職中の転職活動について書きましたが、今回はその続き——転職後の話です。

結論を先に言うと、転職してよかった、世界が広がった感覚がありました。

ただ「思ってたと違う」という部分もゼロではありませんでした。RPGで言うなら新マップに踏み込んだ瞬間の感覚——新鮮さと戸惑いが混在している感じ、といえば伝わるでしょうか。

きれいごとだけでなく、ギャップも含めて正直に書きます。転職を迷っている方の参考になれば嬉しいです。

患者さんとの「関わり方」が、根本的に変わった

病院薬剤師として働いていたころ、患者さんとの接点はある意味で「点」でした。

入院してきた患者さんに服薬指導をする。退院すれば、それっきり。次に会うことはほぼない。会うたびに初対面に近い感覚で関わる、それが当たり前でした。

調剤薬局に移って最初に感じたのは、その「点」が「線」になった感覚です。

慢性疾患の患者さんは毎月来ます。「先月の薬、飲み切れましたか」「血圧の数値、どうでした」——そういう会話を積み重ねていくうちに、少しずつ顔と名前と背景がつながっていく。

ゲームで言うなら、NPCだと思っていたキャラクターに実は深いストーリーがあった、みたいな感覚です。「薬を渡す人」ではなく「この人の生活の一部に関わっている」という実感が生まれてきました。

病院では「会うたびに初対面」→ 調剤では「毎月顔を見る継続的な関係」。この違いが、私には思った以上に大きかったです。

もちろん、これが合う・合わないは人によって違うと思います。「いろんな患者さんに関わりたい」なら病院の方がいいかもしれないし、「深く関わりたい」なら調剤の方が向いているかもしれない。

それが「世界が広がった」と感じた理由

患者さんとの関係が「点」から「線」になった——それだけじゃなく、「薬剤師として見える景色」そのものが変わりました。

病院にいたころは、患者さんが退院したあとの「病院の外」の情報が正直あまり見えていませんでした。

「先生に言えなかったんですけど…」——病院に入院しているころではあまり出てこない話が、薬局のカウンターでは普通に出てくる。

ファーストコンタクトで情報を全部取れるRPGのキャラクターより、時間をかけて話すうちに少しずつ心を開いてくれるキャラクターの方が、実は持っている情報が多い——そんなイメージです。

「薬を渡す」だけでなく、患者さんの生活に近い場所で関われる——それが、私にとって一番大きな「広がり」でした。

病院薬剤師としてのスキルや知識が無駄になるわけでもなく、むしろ「病院を知っている調剤薬局薬剤師」として入院していた時の状況を予想して、患者さんに説明できる場面もありました。

転職って、ゼロリセットじゃなくて積み上げの続きなんだと感じた瞬間でもあります。

正直驚いたこと——ビジネス意識の強さ

ここは、きれいごとなしに書きます。

調剤薬局に移って感じたのは、「稼ぐ」ことへの意識が、病院とはだいぶ違うということでした。

病院は個人が売上を意識する場面はほぼありませんでした。でも調剤薬局は民間のビジネスです。処方箋の枚数、在庫のロス、患者さんの来局頻度——そういった数字が、日常会話の中に普通に出てくる。

最初は少し面食らいました。「薬局って、こんなに数字の話するんだ」という感覚です。ストーリーを楽しむRPGを買いきりのつもりで買ったら、後から課金要素がついていたみたいな——そんな感じに近いかもしれません。

ただ、慣れてくると納得感もありました。

ビジネスとして成立しているから、スタッフの給与も払えるし、薬局として続けられる。患者さんに関わり続けるためにも、経営が回ることは必要なんだと理解できるようになりました。

「思ってたと違う」ではあったけれど、「だから転職を後悔した」ではありませんでした。むしろ、病院だけにいたら気づかなかった視点を持てた感覚があります。

それでも、転職してよかった

ギャップの話を正直に書いたので、「結局どうなの?」という部分もはっきり書きます。

転職してよかったです。

一番の理由は、「このままでいいのか」という感覚が消えたことです。病院で働いていたころ、頭の片隅にずっとあったあの感覚——転職してからはそれがなくなりました。

毎朝起きて職場に向かうときの気持ちが、シンプルに軽くなった。

それだけで、十分でした。

ギャップがゼロだったとは言いません。でも「来てよかった」という感覚が、ギャップを上回っていました。

あと、在職中に転職活動を進めたことも、結果的によかったと思っています。収入がある状態のまま動いたので、「とにかく早く決めなきゃ」という焦りがなかった。

だからこそ、多少のギャップにも冷静に向き合えた、という部分は確実にあります。

まとめ

病院から調剤薬局への転職、変わったこと、驚いたこと、それでもよかった理由を書いてきました。

・患者さんとの関係が「点」から「線」になった

・薬剤師として見える景色が広がった

・ビジネス意識の強さにはギャップがあった

・それでも、「このままでいいのか」という感覚が消えた

転職は、環境をリセットするんじゃなくて積み上げの続きだと感じています。病院で得たものが無駄になるわけじゃない。むしろそれを持ったまま、新しいフィールドに立てる。

転職を迷っている方に伝えたいのは、「動いてみないとわからないことが、思った以上にある」ということです。情報を集めるだけでいい、登録するだけでいい——そのくらいの気持ちで最初の一歩を踏み出してみてください。

転職活動の進め方についてはこちらの記事、在職中の動き方についてはこちらの記事にまとめています。

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