「調剤薬局って、調剤するだけで単純そう」――転職前の私は、どこかそういうイメージを持っていました。
実際に転職してみて、そのイメージは見事に崩れました。
この記事では、病院薬剤師から調剤薬局に転職した私が、仕事内容の違いについてそのまま話します。
病院時代と同じ「調剤」のつもりでいたら、全然違った
病院でも調剤はやっていました。内服薬を払い出す、注射薬の準備をする。それが私の「調剤」でした。
調剤薬局に来て最初に思ったのは、「同じ調剤なのに、なんか全然違う」でした。うまく言葉にできないんですが、考え方、姿勢?が違う気がするんです。
ゲームで言うと、シリーズもので世界観も同じだろうと思っていたら全くの別物だった、という感じに近いです。「薬を正確に揃える」という目標は同じなのに、求められる動きが全然違う。調剤もそれに近い感覚でした。
調剤薬局では、とにかく正確で素早い調剤を行うことが常に求められます。患者さんが待っている状態で、複数の処方箋を並行して動かしながら調剤を進める。病院でもミスは絶対NGでしたが、調剤薬局では「速さと正確さ」のバランス感覚を最初はなかなかつかめませんでした。
「単純そう」と思っていた気持ちは、転職してすぐに改めることになりました。同じ「調剤」という言葉が指しているものが、根本的に違う気がします。
調剤薬局の1日の仕事の流れ:基本はずっと調剤、すきまに他の業務
「調剤薬局では何をやっているの?」
答えはシンプルで、基本的に1日中調剤を行っています。処方箋が来た分だけ調剤する、という繰り返しです。他の業務は、すきま時間を使って行う形になっています。
病院時代は、日によってある程度業務の種類が決まっていました。でも調剤薬局は、患者さんが来た瞬間から調剤が始まります。「他のことをしようとしたら、また処方箋が来た」という感覚がずっと続いている感じです。
これが「慣れるのが大変だった」理由のひとつです。1日のリズムがなかなかつかめませんでした。
服薬指導と薬歴の比重がかなり高くなった
調剤薬局に転職して特に「病院と違う」と感じたのは、多くの患者さんと話さなければならないという事です。
とにかくたくさんの患者さんと話す、というのが正直な感想です。病院の病棟業務ではそれなりにありましたが、調剤薬局ではかなり増えた感じがします。聴取から始まり、処方された薬の飲み方、副作用の説明、生活上の注意点――など多くの患者さんと話さないといけません。
さらに、服薬指導のあとには薬歴の記載が必要です。薬歴の枚数が多くなるから時間がかかる、というのが正直な実感です。慣れるまで何を書けばいいかわからなくて、最初はかなり時間を取られました。
「患者さんと話すことが仕事の中心」という事実は、病院薬剤師から転職する人にとっては案外なじみが薄い部分かもしれません。私自身、「これだけ話すのか」と思った記憶があります。
やること・考えることは正直たくさんある。単純ではなかった
転職前の友人(病院薬剤師)に「調剤薬局って実際どう?」と聞かれたら、私はこう答えると思います。
「調剤・服薬指導がメインだけど、やること考えることはたくさんある。」
「すごく働きやすい職場に移った」と言いたいところですが、正確には「しんどさの種類が変わった」という感じです。病院時代は当直などのしんどさがありました。調剤薬局には、それとは違う「調剤の速さ・正確さ、患者とのコミュニケーション、記録」のしんどさがある。どちらが上とかではなく、種類が違う。
慣れてくればある程度仕事のリズムもできてきました。ただ最初の数ヶ月は、「単純だと思っていた自分が間違っていた」と感じることが何度もありました。
転職を考えている方に伝えるとしたら、「調剤薬局に行けばもっと働きやすくなれる」というより、「今とは違う形で大変な部分もある」ということです。それを知った上で転職を選ぶのと、知らずに転職するのでは、入ってからの心構えが変わってくると思います。
この記事のまとめ
病院薬剤師と調剤薬局薬剤師は、例えば「調剤」という言葉一つとっても考え方・姿勢が違ってくるのかなと思います。1日の仕事はほぼ調剤が軸で、他の業務はすきま時間に対応する形です。服薬指導と薬歴記録が仕事の中心で、たくさんの患者さんと話さなければならない。「単純そう」というイメージとは違い、やること・考えることはたくさんあります。しんどさの種類が変わる、という心構えで転職に臨むのが現実に近いかもしれません。
転職後の全体的な変化については、転職後どうだったか(病院→調剤薬局のリアル)もあわせて読んでみてください。また、「病院薬剤師のスキルは調剤で通用するのか?」という疑問は「病院薬剤師は調剤で使えない」は本当かで話しています。


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